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短編小説

父と娘

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「入るぞ」
ノックの音で、私はドアの向こう側にいる相手がすぐにわかった。私に対していつも遠慮がち、その癖言いたいことだけ言って寝室に引っ込んでしまう、父そのものを表す音だった。
「どうぞ」
 ああ…またこんなそっけない声を出してしまって…。今日くらいは素直になろうと思ったのに、長年培った習慣というものはなかなか変えられないものなのだ。
 こんな風に父と向かい合ったのは…父に結婚の許しを得る為に彼と一緒に挨拶に行った、あの日以来だった。そしてその前は…もう、何年も昔の父の記憶しかない。幼い頃は自慢だった父のふさふさの黒髪が、薄くなり、白に染まっていくその過程を、私は見ぬふりをしていた為、目の前にいる父の姿を父と認識するのはまだ慣れない。
 お互い何をどう言っていいかわからない。沈黙がしばらく続いた。せめて手紙でも書いておけばよかった…と後悔しても後の祭りだ。
 私が困惑しているのを察知したのか、いつもは自分からはほとんど話すことがない父が、ゆっくり口を開いた。
「…綺麗になったんだな」
 力無く発せられたその声が、父が老いたということを私に感じさせた。なぜだろう。その声を聞いてしまった私は、今までのことを全て許してしまいたいという気持ちになった。
 幼い頃から自分の思い通りにならない私の事を、父は煙たがった。何かにつけて私の事を罵ったその声は、私にとって恐怖の対象でしか無かったのに…それがもう過去のものとなったとこのとき気づかされ、私は取り返しがつかない過ちをしたのだと実感した。
 もっと…頑張って話をすれば良かった。
 あのころの父と、そして私が見てこなかった父と…。
「どうして泣くんだ?」
 どうして今になって優しくするの?いや…今だから優しくしてくれるの?
「…だって…私今日お嫁に行くのよ?」
「そうか。そうだな…」
「そうだよ」
 こうして3往復の会話すら…一体何年振りなんだろう。
「…寂しくなるな」
 ぽつりと父が言ったこの言葉に、私は反応してしまった。
「どうしてもっと早く言ってくれなかったの!?」
 こんな事、今言うべきじゃない。わかっている。わかっているのに止められない。
「…すまない。言えなかった…お前が…俺を嫌ってると思ってたから」
「違う私はっ…!」
 言おうと思って声が詰まった。そうだ…私が…そう思わせてしまった事に代わりはないのだから。
「私の方こそ…パパは私を嫌ってるって思ってだから…だから…」
 私が俯き加減に、頑張って自分の想いを伝えようとすると、ふっと父が纏っていた緊張の空気が破れたように思えた。その空気を察し、父の顔を見ると…その皺が増えていた顔に笑みが浮かべられていた。
「久しぶりに、パパと読んでくれたね」
「…ごめん」
「クソ親父って言ってくれてもいいんだぞ」
「こんな時に冗談やめてよ」
「そうだな…」
こんな風に穏やかに話せる日が来るなんて…思ってなかった。またこんな風に、2人きりで笑顔になれるなんて。
「悪かった。俺は…お前のためだと思って言った言葉でお前を苦しめた」
「…本当はわかってた」
「え?」
「パパが、私を頑張って愛そうとしてくれたこと、わかってた。ううん、わかったの…。彼に出会ってから」
 そう。彼がいなかったら、こんな機会に恵まれなかったどころか、父と話をしようとすら思わなかった。
「彼からプロポーズされた時に、私断ろうと思ったの」
「それは、俺が原因か?」
「……そうね…とあの日の私は言ったと思う。でも、違うの。私も悪かったの。勝手に失望して、諦めて…何も無かったかのように振舞うしか、私を守る術が無いと思ったから」
 父と私の間の谷間は、それ程までに深く…広くなっていたと思う。決して交わることがない道に、お互いが立ってしまったのだと。だけど…。
「彼は…そんな私の言葉を1つ1つ真剣に受け止めて、一緒に家族になろうと言ってくれたの。私と彼だけじゃなくて…パパとママ…彼のご両親…みんなで1つの家族になろうって。その為に俺はお前と出会ったんだって」
「…そうか」
 結婚を決めた彼には、父と私が不仲で、もう十数年まともに話をしていないことを話した。家族旅行をした思い出がないことも、私がした事すべて否定されて育って来たことも。だから家族を作りたいだなんて思ったことが無いことも。彼は、私の話を黙って聞いていた。そして最後、私ではあなたを幸せにできないと思うと言った後…彼は私の手をそっと握ってこう言ってくれたのだ。
「彼はね、まだまだこれからだとも言ってくれた。過去の君の家族を変える事はできないけれど、未来を変えることはできるんだ。もし、君が悲しい家族の思い出しかないのであれば、これから作っていけばいいんだって」
「…そうか…そうか…」
 言葉少なげな父の「そうか」という言葉が涙交じりになっていたことが、父の今の気持ちを表しているのだと、はっきりわかった。
 これから家族になっていけばいい。そう言ってくれた彼のお陰で、私の家族もようやく家族になれる気がした。そんな出会いは、父と母が出会って家族になってくれたから生まれたのだと思えた。


というわけですごく短い小説でした。ちまちま修正はしていくとは思いますが、早めにUPしなくてはいけない事情があったのでこのような形でUPしました。


そろそろメニュー項目も考えていこうかと。
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やばい、この小説好きだ…!!!
読みやすくてひきこまれる><テーマもいいね*^^*!!
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